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[职称日语C级] 职称日语C级阅读素材:《学者と名誉》

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发表于 2012-8-15 22:57:32 | 显示全部楼层 |阅读模式
  木村项(きむらこう)の発见者木村(きむら)博士の名は惊くべき速力を以て旬日(じゅんじつ)を出ないうちに日本全国に広がった。博士の功绩を表彰(ひょうしょう)した学士会院(がくしかいいん)とその表彰をあくまで紧张して报道する事を忘れなかった都下の各新闻は、久しぶりにといわんよりはむしろ初めて、纯粋の科学者に対して、政客、军人、及び実业家に譲らぬ注意を一般社会から要求した。学问のためにも贺すべき事で、博士のためにも喜ばしき事に违(ちがい)ない。; F8 l$ V* `8 }2 w  `7 U. j
  けれども今より一カ月前に、この木村博士が何処に何をしているかを知っていたものは、全国を通じて仅か百人を出ぬ位であったろう。博士が忽然(こつぜん)と着名になったのは、今までまるで人の眼に触れないで経过した科学界という暗黒な人世(じんせい)の象面(しょうめん)に、一点急に辉やく场所が出来たと同じ事である。其所(そこ)が明るくなったのは仕合せである。しかし其所だけが明るくなったのは不都合である。* f5 @( r0 L" J; Y. @
  一般の社会はつい二、三周间前まで博士の存在について全く神経を使わなかった。一般の社会は今日といえども科学という世界の存在については殆んど不関心(ふかんしん)に打ち过ぎつつある。彼らから见て闇(やみ)に等しい科学界が、一様の程度で彼らの眼に暗く映る间は、彼らが根柢(こんてい)ある人生の活力の或物に対して公平に无感覚であったと非难されるだけで済むが、いやしくもこの暗い中の一点が木村项の名で辉やき渡る以上、また他が依然として暗がりに静まり返る以上、彼らが今まで所有していた公平の无感覚は、俄然(がぜん)として不公平な感覚と変性(へんせい)しなければならない。これまではただ无知で済んでいたのである。それが急に不徳义に転换するのである。问题は単(ひとえ)に智愚を界(さかい)する理性一遍の墙(かき)を乗り超えて、道义の圏内(けんない)に落ち込んで来るのである。
9 E8 v$ u3 U& X3 m$ ^  木村项だけが炳(へい)として俗人の眸(ひとみ)を焼くに至った変化につれて、木村项の周囲にある暗黒面は依然として、木村项の知られざる前と同じように人からその存在を忘れられるならば、日本の科学は木村博士一人の科学で、他の物理学者、数学者、化学者、乃至(ないし)动植物学者に至っては、単位をすら充たす事の出来ない出来损(できそこ)ないでなければならない。贫弱なる日本ではあるが、余(よ)にはこれほどまでに愚図(ぐず)が揃(そろ)って科学を研究しているとは思えない。その方面の知识に疎(うと)い寡闻(かぶん)なる余の头にさえ、この断见(だんけん)を否定すべき材料は充分あると思う。 . T0 c) i# o2 T8 f8 V' c+ N9 n
  社会は今まで科学界をただ漫然と暗く眺めていた。そうしてその科学界を组织する学者の研究と発见とに対しては、その比较的価値所(どころ)か、全く自家の着衣吃饭(ちゃくいきっぱん)と交渉のない、徒事(いたずらごと)の如く见傚(みな)して来た。そうして学士会院の表彰に惊ろいて、急に木村氏をえらく吹聴(ふいちょう)し始めた。吹聴の程度が木村氏の伟さと比例するとしても、木村氏と他の学者とを合せて、一様に坑中(こうちゅう)に葬り去った一カ月前の无知なる公平は、全然破れてしまった訳になる。一旦(いったん)木村博士を赏扬(しょうよう)するならば、木村博士の功绩に応じて、他の学者もまた适当の名誉を荷(にな)うのが正当であるのに、他の学者は木村博士の表彰前と同じ暗黒な平面に取り残されて、ただ一の木村博士のみが、今日まで学者间に维持せられた比较的位地を飞び离れて、衆目の前に独り伟大に见えるようになったのは少なくとも道义的の不公平を敢てして、一般の社会に妙な误解を与うる好意的な悪结果である。 * E  E: l: |: ^$ D1 V. w
  社会はただ新闻纸の记事を信じている。新闻纸はただ学士会院の所置(しょち)を信じている。学士会院は固(もと)より己(おの)れを信じているのだろう。余といえども木村项の名誉ある発见たるを疑うものではない。けれども学士会院がその発见者に比较的の位置を与える工夫(くふう)を讲じないで、徒(いたず)らに表彰の仪式を祭典の如く见せしむるため被赏者に絶対の优越権を与えるかの如き挙に出でたのは、思虑の周密(しゅうみつ)と弁别(べんべつ)の细致(さいち)を标榜(ひょうぼう)する学者の所置としては、余の提供にかかる不公平の非难を甘んじて受ける资格があると思う。 $ B; T' K6 V1 M
  学士会院が栄誉ある多数の学者中より今年はまず木村氏だけを选んで、他は年々顺次に表彰するという意を当初から持っているのだと弁解するならば、木村氏を表彰すると同时に、その主意が一般に知れ渡るように取り计(はから)うのが学者の用意というものであろう。木村氏が五百円の赏金と直径三寸大の赏牌(しょうはい)に相当するのに、他の学者はただの一銭の赏金にも直径一分の赏牌にも値せぬように俗衆に思わせるのは、木村氏の功绩を表するがために、他の学者に屈辱を与えたと同じ事に帰着する。
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