むかしむかし、布引山(ぬのびきやま)という山のふもとのある村に、とてもケチなおばあさんが住んでいました。
8 Y& J" M& A; k: b! x 很久很久以前,在一座叫做布引山的山脚下的村子里,住着一位很小气的老奶奶。* I5 M: d# A, J6 M( }
おばあさんは、いつも一人ぼっちでしたが、それをさびしいと思った事は一度もありません。(谁かと仲良くしたら、お茶やお菓子を出して、わしが损をする。それに家にあげれば、部屋が汚れる。だから、一人がいい)
* }# \# k! X. m! I* i 老奶奶总是孤身一人,但是她从没觉得自己很寂寞。(如果和谁关系好,就要拿出自己的茶和点心,那我就亏了。而且如果在家里给的话,还要把房子弄脏。所以我还是一个人好了。)
3 F. K; g/ j' Q% @. N さて、今日は村の近くの善光寺(ぜんこうじ)というお寺で、お祭りがある日です。
r8 L9 c/ l/ I& c& ~8 D$ S* ] 话说,今天是村子附近的善光寺的祭祀日。6 k8 m9 E$ ?9 b" g: T8 m, U2 b+ b2 d7 V
おばあさんが庭で白い布を干していると、お祭りへ行く村人たちが声をかけて来ました。「おばあさん、今日は善光寺へ行く日よ」「ねえ、みんなとお参りしましょう」
7 X, z& S% Q J G6 L& Z 老奶奶在院子里晒白布,去祭祀的村民们来喊她「老奶奶,今天去善光寺吧」「是啊,和大家一起去吧」
4 x1 d, ]. c8 N& O5 G でもおばあさんは返事もしないで、白い布を干し続けていました。「やれやれ、やっぱり駄目か」村人たちは诱うのをあきらめて、行ってしまいました。 U6 M9 q1 ~) X9 N2 S7 F, _
但是老奶奶没有回答,只顾着晒白布。「哎呀哎呀,还是不行啊」村民们不再邀请她,就离开了。* m' m% l3 o! ?, r' X
その後ろ姿を见ながら、おばあさんは言いました。「寺に行って金を使うなんて、もったいないねえ。それにわたしゃあ、神も仏も大嫌いさ。拝んだところで、腹一杯になるわけじゃなし、お布施(ふせ)を取られて大损だよ」
8 b" n8 l5 B3 d% [7 A3 b 看着他们的背影,老奶奶说道「去寺庙花钱可真是浪费啊。而且我最讨厌神啊佛啊什么的了。参拜又不能填饱肚子,还要给予施舍,真是太亏了」$ V' x& Z) c; d( J9 {7 Z8 H
するとその时、どこから来たのか、おばあさんの目の前に大きな牛が现れたのです。 [" a3 S5 m ^4 l) y
这时,不知道从哪里来的一头大牛突然出现在老奶奶面前。% Y- Z) `; {: w* @" [/ g8 @
「うひゃーっ!」おばあさんがびっくりして声を上げると、その声に惊いた牛が、おばあさんの干していた白い布を角に引っかけて駆け出しました。5 z5 i1 V* x e) z
「哇呀!」老奶奶吓得惊呼一声,而被这声音吓到了的牛顶着老奶奶晒着的白布跑了。
0 g* z7 c: x! _ 「ああ、こら、待て!」おばあさんは、牛を追いかけます。
1 _9 }/ n! [( W' U 「啊,喂,等等!」老奶奶追着牛跑了出去。
8 z: ^* T, K- J: M J: O; i 牛は白い布を角に引っかけたまま、どんどん走って行きます。その早い事。菜の花畑を駆け抜けて、桜林を駆け抜けて、まるで风の様に走ります。( B1 V1 x9 N. U
牛用角顶着白布,飞快地跑着。它穿过油菜花田,穿过樱花林,如风般跑得飞快。
( X+ [% D: x2 @7 m$ W" n そして牛は善光寺まで来ると、门をくぐって境内へ走り込みました。; Q; j5 m7 R x/ i- X% {
牛跑到善光寺,然后钻进门跑进院内。
8 x$ k% ]; n0 B0 J9 K% ^& V7 W! H5 t その後を、おばあさんも叫びながら走り込みました。「こらー!牛ー!わたしの布を返せー!」; M8 o$ X I$ y( E
老奶奶尾随其后,一边喊着一边跑了进去。「喂!牛!快把我的布还给我!」
8 g: b/ |: a% S2 a+ H: ~* X7 @ ところが不思议な事に、牛の姿が突然消えてしまったのです。0 M4 e: T9 a# m2 _) r
可是不可思议的是牛突然消失不见了。; i% m9 V, X0 o' g+ Z1 m
「ああ、わたしの布が???」がっかりしたおばあさんは、その场へ座り込みました。もう疲れ切って、へとへとです。$ l, q! B8 T; W: Q. F4 _) I1 L
「啊,我的布???」失望的老奶奶一屁股坐在地上。她已经筋疲力尽了。/ u }; f5 {2 ]8 e* S
するとどこからか、やさしい声が闻こえて来ました。それは、お経を唱える声です。その声は、おばあさんをやさしく包み込みました。3 |& l* p! l, E6 e, J( L
然后不知从哪传来很柔和的声音。那是念佛经的声音。那声音温柔地包围了老奶奶。
9 J! G4 F& L! r' Y5 ^ r/ ?" w; W それはまるで、春の光が体の奥からゆっくりと広がって行く様です。「おや、こんなにいい気持ちは初めてだ。心が暖かいよ」
x9 ~% M+ X% _" |$ |0 t: T 那声音宛如春天的阳光缓缓地照进身体。「呀,第一次感觉这么舒服。心里暖暖的」5 o0 l4 F; G9 b- f, G
おばあさんは、目を闭じました。するとおばあさんの目から、涙がどんどんあふれました。その涙は、おばあさんの心をきれいにしていく様でした。
# k6 q- \+ Y( T. N7 g& y9 b 老奶奶闭上眼睛。然后老奶奶的眼睛里溢满了泪水。那泪水洗净了老奶奶的心。
6 V2 S' k- W$ `- r やがてお経が终わる顷には涙も止まり、おばあさんの心はすっきりと晴れていました。おばあさんは、生まれて初めて手を合わせました。「きっと仏さまが、わしをここへ连れて来て下さったんじゃ」6 \8 Y4 o8 [4 t# F5 p
不久佛经念完了,泪水也止住了。老奶奶的心情豁然开朗。老奶奶自出生以来,第一次合上双手。「这一定是佛祖带我来这里的」 V& _8 s7 u9 q: w5 [
それからというもの、おばあさんは村人たちに优しくする様に努めました。
% ?% M0 i# r$ d. p" x 从那以后老奶奶努力对村民们温柔起来。
+ W4 ]3 ^# e6 h5 \& [8 q1 W, c- R 出来る手伝いがあれば、自分から进んで手を贷しました。8 h% p& B0 b8 g% ]
如果是自己能帮上忙的事,就一定努力尽自己的一份力。) @2 O V, ~) q& Z; n! n" P
そうすればするほど心が暖かくなるのを、おばあさんは知ったのです。おばあさんは、もう一人ぼっちではありません。いつも村人たちに囲まれる、心优しいおばあさんになったのです。' E* F: {- [( T! y/ c
越是这样做,心里就越暖和,老奶奶深知这一点。老奶奶再也不是一个人了。经常被村民们包围着,成了个心地善良的老奶奶。 |